『死亡保険金は「命の値段」 もっともシンプルな保険選び』
保険の種類は驚くほど多い。
そして、その内容は複雑で携帯会社の料金プランのようだと思うこともある。
しかしながら、それだけ種類が多いというのは、一人ひとりの違う人生に適した保険が生まれてきたためであって、意味もなく増えてきたわけではない。
著者は「ライフプラン(生きて夢を叶える)」と「デスプラン(亡くなったときの支え)」に合わせた保険選びが重要だと述べる。
確かに保険は来るべきリスクに備えることが目的だから、そのリスク分析のないままに契約などできないのは必然である。
例えば結婚していて夫である自分が早くに死んでしまったとしたら、その後の家族の生活は困窮するのが今の日本のスタンダードであろう。
となると、それに備えた保険契約を行っておかなければならない。
続きを読む『かもめ食堂』ー何気ない日常の中にある幸せー
何気ない日常が淡々と描かれており、変な盛り上がりもクライマックスも用意されていない。
でも、すーっと小説の中に入っている自分がいて、いつの間にか読み終えていた。
仕事をして生きていると日々があっという間に過ぎていく、そんな毎日が丁寧な筆致で書き綴られている。
最後は少しほっとしたところもいい。
思えばかもめ食堂で働く女性たちは、日本で自立を妨げられていた存在であって、フィンランドで自立した存在になったと見ることができるのではないか。
「あなたのお父さんやお母さんにもあやまらなくちゃいけないわね」
「それは‥‥‥、大丈夫です」
「でも、きっと怒るでしょう。あんなことになって」
「あれは私の店なので、両親は関係ないんです」(p.164)
フィンランドは社会保障などは充実しているが、個人にはしっかりとした自立が求められる。
著者はその辺の事情も織り交ぜて描いたのではなかろうか。
続きを読む民主主義はいつだって闘いだ
価格:3,807円 |
ホロコースト否定論者デイヴィッド・アーヴィングとユダヤ人歴史学者デボラ・E・リップシュタットとの裁判闘争を描いた映画である。
実話をもとにつくられているというのだから驚きである。
デボラからすれば、自分が負けた場合ホロコーストが否定されることになるわけだから、計り知れないプレッシャーの中で闘ったはずである。
アーヴィングは、ホロコースト否定の自説を批判するデボラをイギリスの法廷に名誉棄損で提訴した。
彼がイギリスの法廷を選んだ理由は訴えられた側に立証責任があるためだ。
歴史的事実を立証せよというのは極めて難しい問題である。
しかし、デボラとその弁護団は負けないために最善を尽くすのである。
続きを読む『99%の会社はいらない』ー会社はただ単に1つのシステムに過ぎないー
さすが堀江氏と思わせてくれる書籍である。
会社は必要ないと言い切る歯切れの良さは、読んでいて非常に気持ちがいい。
手段として会社という制度が生まれてきたにすぎない。
目的の達成手段として代替できるものが他にあるならば、会社など必要なくなるのである。
「嫌々会社に通い、楽しいと思えない仕事ややりたくもない仕事をして、日々を過ごす。どんなに頑張って仕事をしても給料はほとんど上がらない。早く仕事をこなせばこなすほど、給料は変わらないのに仕事量だけが増え、『ダラダラと仕事をした方が残業代も出て得をするのではないか?』ということが、頭の中でチラつく」(p.18
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