柔道好き男の闘病記

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「エタニティ」が映し出す人生の甘美さ

エタニティ 永遠の花たちへ [ オドレイ・トトゥ ]


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美しい映画だ。全編を通して、美しい情景と音楽が流れ続ける。

親子3代にわたる物語を、言葉少なに紡いでいく。

伝わるメッセージは「エタニティ」生命の永遠性である。

 

親が子を産み、子が親になり、またその親が子を産み、という営みを人類は延々と繰り返してきた。

その歴史の長さから見れば、1人1人の物語は淡々と繰り返されてきたという認識に矮小化されがちであるが、本作で描かれているのは誰しもが持つ美しさである。

青年時代という誰しもが経験する時代は、花が咲き薫るような美しさを放つ時代である。

とりわけ、愛するパートナーを得た青年は美しい。いや、お互いが影響し合って美しくなるのだろう。

 

 

不倫あふれる日本においては、結婚や恋愛という関係性にロマンスが感じられるということが少ない。

だからこそ、本作の甘美さは希望として受け入れられるのではないか。

ロマンスなき関係性は寂しい。

 

主人公が老いて死を迎えるとき、「望んでいた死」が訪れると描写される。

美しい時期を終えて、また自らの役割を成し遂げた後は潔く去りたいと思う。

その気持ちはよく理解できる。生きる=美しいの構図を守りたいのだ。

 

そういえば、フランスは出生率を上げることに成功したことを思い出した。

なるほど、このような映画が作れるわけだ、と納得する。

美しい瞬間を思い出として持てたなら、たとえ美しさを失ったとしても勇気をもって生きていけるのだ。

 

トラン・アン・ユン監督『エタニティ 永遠の花たちへ』 ギンレイホールにて
eternity-movie.jp