『からだの中から健康になる長寿の秘密』
著者である三石巌が、読書会で出会った本によって分子栄養学の研究を進めていったという記述は興味深かった。
三石栄養学により僕は健康に生きることができているから、その読書会には感謝しないといけない思う。
三石栄養学の特徴は高たんぱく、メガビタミンにあると言えよう。
つまり、体が必要とするたんぱく質の最低量を1日体重の1000分の1gであると提唱し、ビタミンの必要量には個体差があることを論証した上で、上記の説を述べる。
例えば骨について考えてみよう。
骨が弱いという場合には、カルシウム不足が叫ばれるのが通例である。
しかしながら、著者の言説は違う。
骨の成分の4分の3はタンパク質であり、その基質にカルシウムが結合するわけであるから、骨を強くするのもタンパク質が基本であることを述べる。
このように、科学的に体の成分や代謝反応などをもとに栄養の必要量が求められているのが、三石栄養学であり分子栄養学である。
例を出したらきりがないからもうやめておくが、著者のおかげで「卵の食べ過ぎはコレステロールの摂りすぎになる」などの迷信を打破することができた。
日本人はほぼすべての人がタンパク質摂取不足であることを痛感している。
本書のような科学に立脚した本が多くの人に読まれることを願うばかりだ。
三石巌『からだの中から健康になる長寿の秘密』祥伝社