今さら『半沢直樹』を読んでみた
「やられたらやり返す。倍返しだ!」というキャッチコピーのもと、テレビドラマ『半沢直樹』は一世を風靡した。
実はドラマさえ見ていないのだが、原作を手に入れたので読んでみた。
最後まで一気に読めるぐらい、話の流れがスムーズに描写されている。
これはおそらく、最初に結論としての「半沢直樹がどんな窮地に立たされるか」が描かれた上でストーリーが展開するため、読者はその後は細部が詰められていくのだろうと予測できるからだろう。
それにしても、最後の方は浅野支店長がかわいそうになった。
僕はねちねちと人をいじめることができないため、そこは共感できなかったが「倍返し」のためには必要なプロセスであるのかもしれない。
つまり、浅野支店長の責任で西大阪スチールへの融資金が焦げ付いたという真実を暴くだけでは倍返しとは言えず、自らの栄転も必要なのだろう。
そういえば、西大阪スチールの社長の東田は銀行からひどい仕打ちを受けた過去から、過度の銀行嫌いになったとか。
その東田を、昔親父が銀行に助けられた半沢が追い詰めるというのも皮肉だ。
銀行は資本主義システムの根幹だから、銀行との関係がこじれれば、それは会社にとってあらゆる停滞につながっていく。
個人的には護送船団方式などシステムとして優れていたと思うが、グローバリゼーションに飲み込まれてか、自己規律の甘さからくる不祥事か、なにが大きな要因かは知らないが、金融ビッグバンで急激に自由化したのはいかがなものか。
その評価を検証したいものだ。