柔道好き男の闘病記

議論好き人間の問題提起ブログです。いや、言いたい放題言ってるだけです笑

『山田昭男の仕事も人生も面白くなる 働き方バイブル』

とにかく素晴らしい本だったというしかない。

山田昭男氏が遺した言葉、

「日本人は『楽しく働くこと』を、もっと本気で考えた方がいい」

に、山田氏の問題意識は凝縮されている気がする。

 

未来工業の職場環境とはすなわち、

・就労時間は1日7時間15分で、残業は原則禁止

・年間休日は140日で、「日本一休みが多い会社」として表彰されたこともある

・終身雇用と年功序列型賃金で、育児休職は最大3年

・社員全員が正社員で、希望に応じて70歳定年制

・60歳時の再雇用ではないので、60代のヒラ社員で年収700万円台が数名いる(p.4)

 

 また、普通の会社の常識は未来工業には通用しない。

・会社全体にも各部署にも「売上目標」がない

・個々人の「営業ノルマ」もない

・「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)もなければ、「成果主義」もない(pp.4-5)

 

山田氏のやり方は、個人の主体性にゆだねるという一点に尽きると思う。

人間をロボットのように管理してしまうと、主体性は失われ、創造性も伸びなくなっていく。

所詮は、他人を自分の思うように動かすことなどできない。

チャップリンが工場労働を痛烈に批判している映画があるが、そのような画一的で単調な労働はまさしく「楽しくない労働」というものであろう。

 

「管理」したがる日本社会は、人を信用しない社会と言えるのではないか。

けだし、いくら「管理」をしても従業員の事故や犯罪は防げないのが事実ではあるのだが。

さらに、高度経済成長期の誰もが持っていた社会はずっと発展していくのだという高揚感は、現在完全に失われている。

そのような中では、社員が勝手にやる気を出すということもない。

 

本書は問題だらけの日本社会に大きな一石を投じてくれている。

使われることに安住する人間に変化は訪れない。

山田氏の考え方を受け継いでいきたい。

 

山田昭男山田昭男の仕事も人生も面白くなる 働き方バイブル』東洋経済新報社